建設業の裁判例

平成10年の裁判例

札幌地決平10・3・20
事案
 建設業を営むX株式会社は、平成5年5月、ホテル事業を営むY株式会社との間で、ホテルの増改築につき工事価格27億9000万円で請負契約を締結し、同時に覚書を取り交わし、工事を施工したが、工事の途中、設計仕様の変更があり、変更後の工事を完成したが、Yが増額分の工事代金の支払を拒否したため、XがYの所有に係る不動産につき工事代金債権を被保全権利として仮差押えを申し立てたところ、原決定がこれを認容したため、Yが保全異議を申し立てたものである。本件では、変更工事契約の効力、成立範囲、増加工事の代金額等が争点になった。
決定
 工事の監理者が注文者の代理人として代理権を授与されていた旨の請負者の主張を排斥したものの、約款24条、25条の内容を合理的に解釈すると、請負者は発注者との協議が成立しなくても、時価による請負代金の増額を請求することができるとし、6500万円余の範囲で増額を請求することができるとし、原決定の一部を取り消し、その余の部分を認可した。
最決平10・12・18
事案
 A株式会社は、B株式会社から代金2080万円でターボコンプレッサーの設置工事を請け負い、この債務を履行するため、X株式会社にターボコンプレッサーを代金1575万円で発注し、Xは、Bに同機械を引き渡したところ、Aが破産宣告を受け、Yが破産管財人に選任され、XがYを相手方として動産売買の先取特権に基づき、請負代金債権(Bが供託したころにより、供託金還付請求権)の差押えを申し立てる等したものである。本件では、請負代金債権に対する動産の売買の先取特権に基づく物上代位権の行使の可否が争点になった。抗告審決定は、物上代位権の行使を肯定したため、Yが許可抗告を申し立てた。
決定
 原則としては物上代位権を行使することはできないが、請負代金全体に占める動産の価格の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には物上代位権を行使することができるとした上、本件では特段の事情があるとし、物上代位権の行使を肯定し、抗告を棄却した。

平成11年の裁判例

福岡高判平11・10・28
事案
 Xは、平成5年5月、建築業者であるYとの間で、代金1865万円でたてものの建築請負契約を締結し、Yは、自ら建物を設計し、建物を完成し、Xに引き渡したが、Xが建物の瑕疵を指摘し、残代金の支払を拒絶し、Yが修補に応じなかったことから、XがYに対して床の傾き、サッシの型枠の取付不良等の瑕疵を主張し、瑕疵担保責任、不法行為に基づき損害賠償を請求したのに対し、Yが反訴として残代金の支払を請求した。
争点
 建物の瑕疵有無・程度、損害
原審
 本訴請求を一部認容し、反訴請求を全部認容したため、Yが控訴し、Xが附帯控訴した。
判旨
 建築工事の請負人は、故意によるか、又は瑕疵が居住者の健康等に重大な影響を及ぼすなど、反社会性、反倫理性が強い場合には、不法行為責任を負う。本件では不法行為は認められず、建物に瑕疵があり、修補工事代金、慰謝料(50万円)、弁護士費用(80万円)の損害を認め、原判決を変更し、Xの本訴請求を一部認容した。
東京地判平11・12・10
事案
 X1、X2は、ピアノ及びチェンバロの演奏場用等に使用する目的で、平成7年3月、建築業者であるY株式会社から分譲マンションの一部を代金5731万3000円で購入するとともに、建物の一部につき代金270万円で防音構造にすること等を契約とする設計仕様変更契約(請負契約)を締結し、Yが工事を施工し、平成7年11月、X1らに引き渡したが、X1らは、防音工事が契約に定められた防音水準であるSに達するものではないと主張し、Yに対して担保責任に基づき損害賠償を請求した。
争点
 防音工事の水準、契約違反の工事の有無
判旨 請求棄却
 X1らがYに求めた防音水準は人に迷惑をかけない防音であり、最高水準の本格的な防音であるS防音を明確に定めたものではないとし、本件契約がS防音を前提としたものではない。

平成12年の裁判例

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