建設現場従事者の産業廃棄物等の取り扱い

建設現場従事者の役割と実施事項

  •  建設現場従事者は、廃棄物処理法を遵守して、工事から生じた廃棄物を適正に取り扱わなければなりません。また、土地汚染対策法を遵守して、工事に伴う汚染の拡散等の防止に努めなければなりません。
  •  建設現場従事者は現場における役割に応じて、廃棄物処理法に定める事項を実施しなければなりません。すなわち、元請業者に該当する場合は排出事業者責任を負う者として、産業廃棄物の処理委託に際しては、委託契約を締結しマニフェストを交付しなければなりません。
  •  有害な廃棄物、汚染土壌などを不適切に取り扱うことで、場合によっては近隣住民、工事関係者等に健康被害のおそれが生じたり、周辺の生活環境に支障を生じかねません。したがって、建設現場従事者は各々の工種における役割に応じて、このような有害物等の取扱時の注意事項などを十分に理解し、支障の発生の未然防止に努めなければなりません。
  •  建設現場従事者は、有害物等を取り扱うことの責任を十分に認識し、近隣住民等の健康被害や生活環境に支障を及ぼすおそれが生じた場合は、工事関係者及び必要に応じて発注者、近隣住民等に対して十分な説明、連絡を行うなど適切な対応をとる必要があります。

建設廃棄物の取扱い

1 関係者の役割と責務

建設工事における排出事業者には、元請業者が該当します。

排出事業者は、産業廃棄物を自ら処理(保管、運搬、処分)する場合は、処理基準を遵守しなければなりません。また、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、処理業者と委託契約を締結し、マニフェストを交付しなければなりません。

2 建設廃棄物の種類

地下鉄工事などの掘削工事に伴って排出される掘削物等のうち、含水率が高く粒子が微細な泥状のものは、産業廃棄物の汚泥として取り扱われます。

建設工事に伴って発生する伐採財・根株は、産業廃棄物の木くずとして取り扱われます。

留意を要する廃棄物

石綿(アスベスト)ポリ塩化ビフェニル(PCB)

建設副産物

資源有効利用促進法建設リサイクル法

土壌汚染対策法フロン排出抑制法

3 管理体制と処理計画

排出事業者は建設廃棄物を適正かつ計画的に処理するために、本社、支店、作業所等における責任体制を明確にし、社内管理体制を整備する必要があります。

作業所は廃棄物を適正かつ計画的に処理するために、建設廃棄物の処理計画を作成することが望ましいと考えられます。

4 自ら処理

排出事業者は、産業廃棄物を自ら処理(保管、運搬、処分)する場合は、それぞれの処理について定められた処理基準を遵守しなければなりません。

5 委託処理

排出事業者は、産業廃棄物の運搬または処分を委託する場合は、県政令市により許可を得た収集運搬業者又は処分業者にそれぞれ委託しなければなりません。また、委託内容が許可証に記載されている内容に含まれていることを確認しなければなりません。

排出事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合は、法定事項を記載した書面により契約しなければなりません。また、委託契約書に処理業者の許可証の写しを添付して、契約の修了の日から5年間保存しなければなりません。

産業廃棄物を搬出する際には、廃棄物の種類ごとにマニフェストを交付しなければなりません。

6 処理実績等の報告

排出事業者は、マニフェストの交付実績(年度実績)を県政令市に報告しなければなりません。

多量排出事業者に該当する場合は、産業廃棄物の処理計画、処理実績を取りまとめて、県政令市に報告しなければなりません。

7 罰則

廃棄物をみだりに捨ててはなりません。また、処理基準を遵守しないで埋めたり、焼却してはなりません。

産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、委託基準を遵守しなければなりません。


着工時

建設リサイクル法の届出等
 建設リサイクル法の「対象建設工事」に該当する場合は、7日前までの届出、請負契約書への法定事項の記載などが必要となります。
建設副産物の処理計画の作成
 作業所においては、建設廃棄物の処理計画を作成することが望ましいと通知されています(環境省通知、建設廃棄物処理指針)。また、資源有効利用促進法に定める一定規模以上の工事においては、再生資源利用計画、再生資源利用促進計画を作成する必要があります。
土地汚染対策法の形質変更の届出
 一定規模(3,000㎡)以上の土地の形質変更を行う場合は、発注者は30日前までに届け出なければなりません。

作業等開始前

騒音・振動の特定建設作業の届出(騒音・振動規制法)
 特定建設作業に該当する場合は7日前までに届け出なければなりません。
産業廃棄物処理委託契約の締結
 書面にて委託契約を締結しなければなりません。
業務用冷凍空調機器の事前確認(フロン排出抑制法)
 建築物等の解体工事の元請業者は、業務用冷凍空調機器の有無を確認して発注者に「事前確認書」を交付し、説明しなければなりません。
下水道の使用届(下水道法)
 工事廃水を公共下水道に排出する場合、自治体によっては届出などが必要な場合があります。
残土排出時の確認
 自治体によっては土砂の取り扱いに関する条例等(残土条例)を定めているため、この有無または内容を確認しなければなりません。
 土壌汚染対策法の要措置区域等から汚染土壌を搬出する場合は、14日前までに届け出なければなりません。

工事中

マニフェストの交付と管理
 産業廃棄物を排出する際には、マニフェストの交付、処理業者から返送されたマニフェストの写しの確認などが必要となります。
分別解体等の実施
 建設リサイクル法に定める通り、新築工事、解体工事において現場分別を実施しなければなりません。
工事排水の管理
 河川等の水質に影響を生じないように工事排水を管理する必要があります。

竣工後

再資源化等の完了の報告
 建設リサイクル法に定める通り、再資源化等が完了したときは、書面により発注者に報告しなければなりません。

環境関連法の主な届出

環境課題 届出事由
大気汚染 特定粉じん排出工事の届出
水質汚濁 公共下水への放流
河川への汚水排出
騒音規制 指定地域における特定建設作業
震動規制 指定地域における特定建設作業
土壌汚染 一定の規模以上の土地の形質変更
形質変更時要届出区域の形質変更
汚染土壌の搬出
廃棄物処理 産業廃棄物の現場外保管
産廃を排出する事業所
産業廃棄物処理責任者の設置、変更等
特別管理産廃管理責任者の設置、変更
化学物質管理 PCB廃棄物の補完等
緑地保全 緑地保全地域内での建設等行為
自然環境保全 自然環境保全地域内での建設等行為
自然公園内での建設等の行為
環境アセスメント 建設行為による環境影響事後調査計画やその報告
景観保全 景観計画区域内での建築等行為
生物多様性保全 生息地等保護区内の監視地区での建設等の行為