民法636条~639条

636条

請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由とする履行の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。


請負人の担保責任について債務不履行責任に一元化し、その多くの内容を改正民法の債務不履行の一般規程、売買の担保責任に関する規定に委ねることとしたことから、改正民法の請負に関する規定としては、請負人の担保責任に固有の規定を設けた。

仕事の目的物が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合であることは、請負人の担保責任を争う請負人が立証責任を負うことになる。

637条

1 前3条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から1年以内にしなければならない。
2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。

改正条文

1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合の事実を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由とする追完の履行の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が前項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

改正本条は、追完履行請求権(実質的には修補請求権)、報酬の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権の存続期間が民法の消滅時効等の一般期間によって定められていることを前提とし、請負固有の規定として、これらの権利行使の期間を制限する期間を定めるとの趣旨を明らかにしているものである。注文者がこの通知を怠ると、追完履行請求権、報酬の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権を失うという効果が生じるものである。

参考判例

最判昭51・3・4

注文者が民法637条所定の期間の経過した請負契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を自働債権とし請負人の報酬請求権を受働債権としてする相殺については、同法508条の類推適用がある。


638条(請負人の担保責任の存続期間)→削除

  •  建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土地、れんが造、コンクリート造、金属造その他これに類する構造の工作物については、10年とする。
  •  工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から1年以内に、634条の規定による権利を行使しなければならない。

改正民法においては、請負人の担保責任に関する規定を整理することに伴って、本条は削除されている。

土地工作物の請負においては、瑕疵が顕在化するのに相当の年月がかかり、各存続期間を長期間にすることによって注文者が請負人の担保責任を追及することを請負の実情に合わせるとともに、注文者の権利保全の保護を図った。


639条(担保責任の存続期間の伸長)→削除

637条及び前条1項の期間は、167条による消滅時効の期間内に限り、契約で伸張することができる。


改正民法は、本条を削除したが、このような契約(特約)を一切認めないとするものではなく、一定の範囲で契約自由の原則に従って判断されるものであり、公序良俗違反、信義則違反等の法理によって契約が無効とされることがあり得る。

参考判例

最判昭49・3・28

請負契約において、契約当事者が請負人の瑕疵担保責任の存続期間を2年に短縮する旨約した場合、この合意は有効であり、民法638条1項に違反するものとはいえない。

640条~642条

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