専任技術者(建設業法7条2号、15条2号)

建設業許可を取得・維持するためには、営業所ごとに専任技術者を置く必要があります。

専任技術者は業種ごとに必要ですが、要件を満たせば同一営業所において二つ以上の業種について一人で専任技術者となることができます。同一営業所内で、同一業種につき、複数の専任技術者を登録することはできません。

専任技術者とは

請負契約の適正な締結や工事の履行を技術面から確保するために、常時その営業所に勤務する者をいいます。

工事を施工するには、現場に配置技術者(監理技術者、主任技術者、専門技術者)を置く必要がありますが、原則として専任技術者と配置技術者は兼務できません。

専任技術者の要件

以下のいずれかに該当することが必要です。

一般 特定
  • 所定学科卒業後、申請業種について大卒で3年以上、高卒で5年以上の実務経験を有する場合
  • 申請する業種について10年以上実務の経験を有する者
    ※ 同一人で複数業種の実務経験の重複は認められない。2業種なら重複せずに20年の経験が必要。一部実務経験要件の緩和あり。
  • 国家資格等を有する場合
    • 専修学校 所定学科 卒業後、申請業種について5年以上(専門士、高度専門士を称する者は3年以上)の実務経験を有する場合
    • 有資格者
       併せて実務経験が必要な場合、実務経験は資格取得後の経験であることを要する。
    • 登録基幹技能者講習修了者(許可を受け
      ようとする建設業の種類に応じ、国土交通
      大臣が認めるものに限る。)
    • その他、海外での工事実務経験を有する
      者で国土交通大臣の個別審査を受け認定を
      受けた者等
  • 許可を受けようとする建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた試験に合格した者、又は建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた免許を受けた者
  • 一般建設業の専任技術者の要件を満たし、かつ、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、元請として、4,500万円(昭和59年10月1日前にあっては、1,500万円、平成6年12月28日前にあっては3,000万円)以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験を有する者
  • 国土交通大臣が、1.又は2.に掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
※ 指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)の専任技術者は、1.又3.に該当する者に限られる。

専任性(常勤性)

専任技術者は申請会社で常勤することが必要です。他社で常勤することはできません。

「専任」の者とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいい、したがって、雇用契約等により事業主体と継続的な関係を有し、休日その他勤務を要しない日を除き、通常の勤務時間中はその営業所に勤務し得るものでなければなりません。

会社の社員の場合には、その者の勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任の技術者として取り扱われます。

→  現在常勤であることを裏付ける確認資料(神奈川県)

  • 申請会社以外の他社の代表取締役(一人取締役を含む)、持分会社の代表社員、組合の代表理事、清算人である者、他で個人事業を営んでいる者は、申請会社の専任技術者になることはできません(ただし、他社にそれらの者が複数おり、当該他社では非常勤である場合を除く。)
  • 他社の技術者及び管理建築士、宅地建物取引士等、他の法令により専任性を要するとされる者と兼ねることはできません(ただし、同一企業で、同一の営業所である場合を除く)。
  • 他の建設業許可業者の常勤役員等及び常勤役員等を直接に補佐する者、専任技術者、建設業法施行令3条に規定する使用人を兼ねることはできません。
  • 常勤役員等又は当該役員を直接に補佐する者及び令3条の使用人と専任技術者の双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、両者を一人で兼ねることができます。
  • 営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時とりうる体制にあるものについては、当該営業所において営業所専任技術者である者が、当該工事現場における主任技術者又は監理技術者となった場合についても、「営業所に常勤して専らその職務に従事」しているものとして取り扱われます。(ただし、建設業法第26条第3項に規定する専任を要する場合を除く。)(平成15年4月21日 国総建第18号)

    処分事例

    事案
    主任技術者を工事現場に専任しなければならない工事であったにも関わらず、専任技術者を現場に配置していた。
    処分
    指示処分(平成28年12月26日愛媛県知事)

実務経験

「実務の経験」とは、許可を受けようとする建設工事に関する技術上の経験をいいます。

具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験等をいい、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事し、又は現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験も含みます。工事現場の単なる雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。

また、実務の経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、当該建設工事に係る経験期間を積み上げ合計して得た期間です。なお、経験期間が重複しているものにあっては原則として二重に計算しませんが、平成28年5月31日までにとび・土工工事業許可で請け負った解体工事に係る実務の経験の期間については、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業及び解体工事業双方の実務の経験の期間として二重に計算できます。

また、電気工事及び消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験については、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等として従事した実務の経験に限り経験期間に算入し、建設リサイクル法施行後の解体工事に係る経験は、とび・土工工事業許可又は建設リサイクル法に基づく解体工事業登録で請け負ったものに限り経験期間に算入します。

実務経験は、要件を満たしていることを原則当時の書類で裏付けが確認できることが必要です。(許可業者での過去の経験等、裏付け資料を省略できる場合もあります。)

機械器具設置工事の実務経験の証明が含まれる申請・届出をする場合には、行政庁に事前の相談が必要になります。

→ 実務経験要件の緩和

→  専任技術者の実務経験の確認資料(神奈川県)

→ 所定学科卒業後の実務経験により申請する場合

「指導監督的な実務の経験」(特定建設業)

建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術者を総合的に指導監督した経験をいいます。注者から元請負人として直接請け負った建設工事に係るものに限られています。指定建設業(土・建・電・管・鋼・舗・園)は本経験によっては、特定許可の専任技術者になれません。

  • 指導監督的な実務の経験については、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関し、2年以上の指導監督的な実務の経験が必要であるが、昭和59年10月1日前に請負代金の額が1,500万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験及び昭和59年10月1日以降平成6年12月28日前に請負代金の額が3,000万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験は、4,500万円以上の建設工事に関する実務の経験とみなして、当該2年以上の期間に算入することができる。

    期間計算(神奈川県)

    確認書類の請負契約書等の工期の実日数(ひと月に満たない日数は切り捨て)で算出

    請負契約書等の工期が月単位記載で日付が不明確の場合は、各経験年数の始まりの月は加算しない(片落ち)

  • 指導監督的実務経験を裏付ける注文書・契約書等は、指導監督的実務経験証明書(様式第10号)に記載したすべての工事の注文書・契約書等を添付する(具体的な工事内容が分かり工期が確認できるものに限る・原本提示)。
  • 特定建設業の場合、実務経験証明書で証明する実務経験の期間と指導監督的実務経験証明書で証明する指導監督的実務経験の期間は、重複していても認められます。