民法640条~642条

640条 →削除

請負人は、634条又は635条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。


改正民法は、請負人の担保責任の免責に関する特約に関する本条を削除し、廃止するものであるが、これは、請負人が知りながら告げなかった事実につき免責を無効等とすることを一切否定するものではない。改正民法においても、請負契約上の請負人の担保責任の免責特約が締結された場合、請負人が知りながら告げなかった事実について免責が無効である等の効果が、公序良俗違反、信義則違反等を根拠に認められると解することができる。


641条(注文者による契約の解除)

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。


請負人が仕事を完成するまでの間は、注文者は、いつでも、特段の理由なく、請負契約を解除することができるとし、注文者に中途解除権(中途解約権)を認めるものである。

注文者にとっては、仕事の完成が不要になった場合、請負人に損害賠償請求権を認めることによって、不要な請負契約の履行を中止することを認めるものである。


642条(注文者についての破産手続の開始による解除)

  •  注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
  •  前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

改正条文

  •  注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
  •  前項に規定する場合においては、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
  •  第1項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

参考判例

最判昭53・6・23
 請負契約が民法642条1項により解除された場合には、請負人が既にした仕事の結果は、破産財団に帰属するとした。
最判昭62・11・26
 請負人が破産宣告を受けた場合には、当該請負契約の目的である仕事が請負人以外の者において完成することのできない性質のものでない限り、同契約について破産法59条が適用されるとした。