建設業許可申請

建設業を始めるには、軽微な工事だけを行う場合を除き、建設業の許可を受けなければなりません。

建設業とは(建設業法2条)

元請・下請その他のいかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。

「営業」とは

利益を得ることを目的として、同種の業務を継続的かつ集団的に行うこと。

「請負」とは

当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して、報酬を与えることを約束する契約のこと

  • 雇用、委任、建売住宅の売買 、委託契約や研究等のための調査、物品の販売 などは請負には該当しません。単なる物品の販売等(商社・メーカー等)であったとしても、発注者に対して建設工事の完成を請け負うような契約となる場合には、建設業を営むものと解される場合があります。
建設工事に該当しない業務の例
  • ガス、空調、消防施設等の機械器具の保守、点検、管理業務
  • 剪定、除草、草刈、伐採
  • 道路・緑地・公園・ビル等の清掃や管理、建築物・工作物の養生や洗浄
  • 施設・設備・機器等の保守点検、(電球等の)消耗部品の交換
  • 調査(埋蔵文化財発掘等を含む)、測量、設計等の委託業務
  • 運搬、残土搬出、地質調査・観測・測定を目的とした掘削
  • 船舶や航空機など土地に定着しない動産の築造・設備機器取付
  • 自家用工作物に関する工事

建設業の許可を必要とする者(建設業法3条)

次の方は、個人・法人を問わず、建設業の許可が必要となります。ただし、軽微な工事だけを請け負う場合は、許可は必要ありません。
① 建設工事の発注者から直接工事を請け負う元請負人
② 元請負人から建設工事の一部を請け負う下請負人(二次以降の下請負人も同様)

許可が不要な軽微な建設工事 (建設業法施行令1条の2)
建築一式工事 次のいずれかに該当する場合
(1) 一件の請負代金が1,500万円未満の工事(材料、消費税込)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡
  未満の工事

「木造住宅」とは

住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものであり、主要構造部が木造であるもの

建築一式以外の建設工事 一件の請負代金が500万円未満の工事(材料、消費税込)
  • 請負代金の額は、工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由(工事現場や工期が明らかに別である等)に基いて契約を分割したときは、この限りでない(建設業法施行令1条の2第2項)。
  • 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを請負代金の額とする(同令同条3項)。
  • 請負代金には、請負代金や支給材料に係る消費税、地方消費税が含まれます。
  • 建設業法の適用は外国での工事等には適用されません。
  • 軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、電気工事業、浄化槽工事業、解体工事業は登録・届出が必要となります。また、建設業法上の許可を取得して、「軽微な建設工事」でない工事を請け負う場合であっても、届出を求めるなどの二重の手続が求められることもあります。
  • 許可を受けた業種については軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外においては当該業種について営業することはできません。

→ 附帯工事について


建設業の業種(29業種)

営もうとする建設工事の種類ごとに建設業の許可が必要です。

一式工事(2業種)

建設工事の種類のうち、土木一式工事建築一式工事は、他の27の専門工事とは異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事(補修、改造、解体する工事を含む。)であり、契約から完成引渡までの必要な工種のすべてを含むものをいいます。

通常は、二つ以上の専門工事を有機的に組み合わせて社会通念上独立の使用目的がある土木工作物又は建築物を造る場合をいいます。二つ以上の専門工事の組合せでない場合でも、工事の規模、複雑性等から見て総合的な企画、指導、調整を必要とし、個別の専門工事として施工することが困難であると認められるものも一式工事に含まれます。

通常、元請として請負い、自社で各専門工事の技術者を配置し施工するか、下請業者に専門工事の下請け契約を行い施工を依頼します。ただし、下水道工事などで一工区全体を一式で下請する場合など、実態としては下請であっても一式工事になる場合があります。

一式工事の許可を受けた建設業者でも、500万円以上の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事業の許可が必要となります


専門工事(27業種)
大工工事業 タイル・れんが・ブロック工事業 塗装工事業 さく井工事業
左官工事業 鋼構造物工事業 防水工事業 建具工事業
とび・土工工事業 鉄筋工事業 内装仕上工事業 水道施設工事業
石工事業 舗装工事業 機械器具設置工事業 消防施設工事業
屋根工事業 しゅんせつ工事業 熱絶縁工事業 清掃施設工事業
電気工事業 板金工事業 電気通信工事業 解体工事業
管工事業 ガラス工事業 造園工事業

主たる工事として施工する専門工事において、附帯的に発生する他の専門工事(附帯工事)が含めれたとしても、主たる工事の業種で判断されます。


知事許可と大臣許可(建設業法3条)

知事許可

一つの都道府県内にのみ営業所を設けて建設業を営もうとする場合は、当該都道府県の知事許可が必要です。
 知事許可を受けた場合も、全国の現場で工事を施工することができます

  • 「営業所」とは、本店、支店など常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。単なる登記上の本店に過ぎないもの、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所、工事作業員の詰める工事事務所や作業所等は、営業所には該当しません。
  • 「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。
神奈川県知事許可

国土交通大臣許可

二以上の都道府県内に営業所を設けて建設業を営もうとする者は、国土交通大臣許可が必要です。営業所ごとに業種が違っても大臣許可が必要となります。

同一の建設業者が知事許可と大臣許可の両方の許可を受けることはできません

許可を受けた業種について軽微な建設工事のみ行う営業所についても法に規定する営業所に該当し、当該営業所が主たる営業所の所在する都道府県以外の区域内に設けられている場合は、国土交通大臣の許可が必要になります(建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】1.(1))。

知事許可を大臣許可に、大臣許可を知事許可に、A県知事許可からB県知事許可に換えることを「許可換え新規」の申請といいます。

知事許可の有効期間内に大臣許可の申請を行った場合は、新たに大臣許可を受けることによって、従前の知事許可は効力を失います。

一般建設業と特定建設業(建設業法3条)

特定建設業の許可

建設工事の最初の発注者から直接工事を請け負う(元請)者が、1件の工事について下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が4,000万円(ただし、建築一式工事は6,000万円。消費税込み。元請が提供する材料等の価格は含まれません)以上となる下請契約を締結して工事を施工する場合は、特定建設業の許可を受けなければなりません。契約変更後に上記の金額を超える場合には、変更契約が締結される前に特定建設業の許可へ切り替えなければなりません。

元請として下請負人に出す金額についての制約であり、下請負人として工事を施工する場合は、請負金額の制約はありません

特定建設業許可を取得するための要件は、下請負人保護を目的として、一般建設業許可の場合に比べて許可要件が加重されています。

→ 施工体制台帳及び施工体系図の作成等

処分事例

2016年6月23日福岡県、2017年2月16日高知県

事例

 特定建設業の許可を受けずに許可が必要な金額以上の下請契約を締結した。

処分

 営業停止

一般建設業の許可

上記以外の場合は一般建設業の許可が必要です。

ある業種については特定建設業の許可を、他の業種については一般建設業の許可を受けることはできますが、一つの業種について、特定と一般の両方を取得することはできません

一般建設業許可を特定建設業許可に、特定建設業許可を一般建設業許可に換える申請を「般・特新規」といいます。→取扱業務

許可の有効期間(建設業法3条)

許可のあった日から5年目の対応する日の前日をもって満了します。有効期間の末日が、土日祝日等の行政庁の休日に当たる場合も同様であり休日の翌日が満了日にはなりません

更新手続

有効期限後も建設業の許可を維持したい場合には、期間が満了する日の30日前までに、当該許可を受けた時と同様の手続により更新の手続を取らなければなりません(規則5条)。

神奈川県では、許可の有効期間の満了日の3か月前から30日前までに申請するよう指示されています。東京都では、2か月前から。

許可の更新申請中であれば、申請に対する処分が行われるまでは、現在の許可の有効期間が満了した場合であっても、その許可は有効なものとして扱われます(法3条4項)。般・特新規の場合にも同じ取り扱いがされます(建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】7)。

失効したら

無許可業者となり、許可が必要な請負契約を締結することができなくなります。

ただし、従前の許可の有効期間の満了後当該不許可処分が行われるまでの間に締結された請負契約に係る建設工事については、当該不許可処分が行われたことにより従前の許可がその効力を失った後も、継続して施工することができます(法29条の3第1項)。

許可の有効期間の調整(一本化)
許可の更新時における有効期間の調整
 同一業者で別個に2以上の許可を受けている(許可日が複数ある)場合、先に有効期間の満了を迎える許可の更新を申請する際に、有効期間が残っている他の建設業の許可についても同時に許可の更新申請をすることができます。この場合、先に有効期間の満了する許可にあわせて許可日は同一となります。
業種追加、般・特新規の申請時における有効期間の調整
既に許可を受けた業者が、更に他の建設業について追加(般・特新規を含む)して許可の申請をする場合、有効期間の残っている従来の建設業の許可についても同時に許可の更新申請をすることができます。この場合、追加する許可にあわせて許可は同一となります。
 ただし、追加する許可と同時に更新を申請することができる従来の許可の有効期間は、神奈川県知事許可申請においては、原則として3か月以上残っていることを必要とします。


その他

許可には、条件が付される場合があります。→3条の2

500万円以上の下請契約を締結する場合は、下請業者も許可を取得している必要があり、これに違反して下請契約を締結した場合には、元請業者にもペナルティーが科されます。

建設業許可要件

許可取得後に必要な手続き