総合評価方式

意義

公共工事の品質確保を図るには、発注者は競争参加者の技術的能力の監査を適切に行うとともに、品質の向上に係る技術提案を求めるよう努め、落札者の決定においては、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価することにより、最も評価の高い者を落札者とすることが原則となる。

総合評価方式の適用により、公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が施工することとなり、工事品質の確保や向上が図られ、工事目的物の性能の向上、長寿命化・維持修繕費の縮減・施工不良の未然防止等による総合的なコストの縮減、交通渋滞対策・環境対策・事業効果の早期発現等が効率的かつ適切に図られることにより、現在かつ将来の国民に利益がもたらされる。また、民間企業が技術力競争を行うことによりモチベーションの向上が図られ、技術と経営に優れた健全な建設業が育成されるほか、価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで、談合が行われにくい環境が整備されることも期待される。

総合評価方式のタイプ

  • 簡易型
     技術的な工夫の余地が小さい工事においても、施工の確実性を確保することは重要であるため、施工計画や同種・類似工事の経験、工事成績等に基づく技術力と価格との総合評価を行う。
  • 標準型
     技術的な工夫の余地が大きい工事において、発注者の求める工事内容を実現するための施工上の技術提案を求める場合は、安全対策、交通・環境への影響、工期の縮減等の観点から技術提案を求め、価格との総合評価を行う。
  • 高度技術提案型
     技術的な工夫の余地が大きい工事において、構造物の品質の向上を図るための高度な技術提案を求める場合は、例えば、設計・施工一括発注方式(デザインビルド方式)等により、工事目的自体についての提案を認める等、提案範囲の拡大に努め、強度、耐久性、維持管理の容易さ、環境の改善への寄与、景観との調和、ライフサイクルコスト等の観点から高度な技術提案を求め、価格との総合評価を行う。
  • 特別簡易型
     簡易型に準じて、施工技術難易度や現場条件難易度がある程度高いが、技術的な工夫の余地が小さく、施工計画に係る技術的所見を求めることを要さない場合に適用するタイプ。技術資料として、企業や配置予定技術者の技術的能力及び企業の社会性・信頼性に関する資料を求める。
     技術提案所や簡易な施工計画を求めないタイプで、被確定規模の小さな工事に適用される。地方公共団体では最も多く発注されている。

価格以外の評価内容

1 企業の技術力

・技術提案(標準型)

・簡易な施工計画(簡易型)

・企業の技術的能力

  • 同種工事の施工実績
  • 工事成績評定点の実績
  • 過去の優良工事等表彰等の受賞実績
  • ISO9001 ・ISO14001の認証取得

・配置予定技術者の技術的能力

  • 同種工事の施工実績
  • 工事成績評定点の実績
  • 取得資格
  • 若手技術者育成実績
2 企業の社会性・信頼性

・災害時等の地域貢献

・建設業労働災害防止協定への加入

3 地域特有の課題への取り組み

発注事務所の判断により設定される地域特有の課題(施策)への取組みを評価する。

落札者の決定方法

予定価格以下、最低制限価格以上の範囲内で最も評価値の高い業者が落札する。