財産的基礎等(建設業法7条4号、15条3号)
建設業許可を取得するためには、請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有することが必要です。
以下のいずれかに該当する場合は、倒産することが明白である場合を除き財産的基礎要件の基準に適合するものとして扱われます。
一般建設業の場合(法7条4号)
設立後決算が終了している場合 | 設立後一度も決算期を迎えていない場合 |
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下記のⅰ~ⅲのいずれかに該当すること
| 下記のⅰ・ⅱのいずれかに該当すること
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- 「自己資本」とは、法人にあっては貸借対照表における純資産合計の額を、個人にあっては期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。
- 「直前」決算とは、税務署に確定申告済みの決算期で直近のもの。決算期終了後2か月を経過した場合は当該期を「直前」と考えます。
- 許可切れで申請する場合又は初回更新の前に業種追加や般特新規の申請をする場合は上の表の「ⅲ 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること」にはなりません。
- 許可替え新規申請の場合に、他行政庁の許可を受けて5年間営業した実績がⅲに該当するか否かは申請先の行政庁の判断によります。
特定建設業の場合(法15条3号)
申請時直前決算の財務諸表における貸借貸借表(法人の場合、定期株主総会の承認を得たもの)において、次のすべての事項に該当していることが必要です。
事項 | 法人 | 個人 |
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① 欠損比率 | [繰越利益剰余金が負である場合その絶対値の金額-{資本剰余金+利益準備金+その他の利益剰余金(繰越利益剰余金を除く。)}]÷資本金×100≦20% | {事業主損失-(事業主借勘定ー事業主貸勘定+利益留保性引当金+準備金)}÷期首資本金×100≦20% |
② 流動比率 | 流動資産合計÷流動負債合計×100≧75% | 流動資産合計÷流動負債合計×100≧75% |
⓷ 資本金額 | 資本金≧2,000万円 | 期首資本金≧2,000万円 |
④ 自己資本 | 純資産合計≧4,000万円 | (期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金≧4,000万円 |
- 欠損比率について
法人の申請で次の場合は欠損の額が発生しないので、上記計算式を使う必要はありません。
〇 繰越利益剰余金が正の場合
〇 繰越利益剰余金が負である場合、その絶対値の金額を、資本剰余金、利益準備金、その他の利益剰余金(繰越利益剰余金を除く。)の合計額が上回るとき欠損の額とは
法人・・・貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合に、その額が資本剰余金、利益準備金及びその他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く。)の合計額を上回る額。
個人・・・事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額。
- 資本金について
直前決算において資本金の額の基準を満たさなくても、申請日までに増資により基準を満たすこととなった場合は、資本金額の要件に適合します。(商業登記謄本又は履歴事項全部証明書に資本金2,000万円以上の登記がされたこと。) - 設立後一度も決算期を迎えていない場合
開始貸借対照表で、資本金が2,000万円以上あり、資本準備金と合わせた合計自己資本が4,000万円以上あれば要件に適合します。 - 当該財務諸表上では、資本金の額に関する基準を満たさないが、申請日までに増資を行うことによって基準を満たすこととなった場合には、「資本金」については、この基準を満たしているものとして取り扱われます。
基準時
本条の基準に適合するか否かの判断は、原則として、既存の企業にあっては申請時の直前の決算期における財務諸表により、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表により、それぞれ行います。
許可を取得後に当該企業がこの基準に適合しないこととなった場合においても、それは直ちにその許可の効力に影響を及ぼすものではありません。