経営状況分析について

建設業法27条の24
  •  経営状況分析については、登録経営状況分析機関が行うものとする。
  •  登録状況分析の申請は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を登録経営状況分析機関に提出しなければならない。
  •  前項の申請書には、経営状況分析に必要な事実を証する書類として国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
  •  登録経営状況分析機関は、経営状況分析のため必要があると認めるときは、経営状況分析の申請をした建設業者に報告又は資料の提出を求めることができる。

経営状況分析が必要な方は、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関へ経営状況分析の申請をします。総合評定値(P点)を申請する場合は、必ず事前に経営状況分析の申請を行い、経営状況分析結果通知書を受領する必要があります。経営状況分析結果通知書がないと総合評定値の請求はできません。

経営状況分析とは、企業の経営状況を審査したものをいいます。


8指標

「負債抵抗力」収益性・効率性」「財政健全性」「絶対的力量」の4つの側面について、それぞれ2指標ずつ、合計8つの指標から経営状況分析評点Yを算出する。

項目区分 審査項目 項目区分ごとの点数 ウェイト
経営状況(Y)
  • Y1:純支払利息比率
  • Y2:負債回転期間
  • Y3:総資本売上総利益率
  • Y4:売上高経常利益率
  • Y5:自己資本対固定資産比率
  • Y6:自己資本比率
  • Y7:営業キャッシュ・フロー
  • Y8:利益剰余金
最高点1,595
最低点0
0.20

Y(経営状況評点)=167.3×A(経営状況点数)+ 583
A=-0.4650Y1 - 0.0508Y2 + 0.0264Y3 + 0.0277Y4 + 0.0011Y5 + 0.0089Y6 + 0.0818Y7 + 0.0172Y8 + 0.1906

※-3.487 ≤ A ≤6.049

負債抵抗力(Y1,Y2)

有利子負債の期中平均残高、借入利率、負債の支払能力を評価したもの

支払利息と負債額の売上に対する割合のこと(Y1.Y2)

企業の負債に対する抵抗力を表している。

  • Y1:純支払利息比率(%)
     純支払利息(実質的な利息負担額)が売上高に占める割合を示す指標
    Y1=純支払利息(支払利息-受取利息配当金)÷売上高(完成工事高+兼業事業売上高)×100
    -0.3 ≤ Y1 ≤5.1
    • この数値が低いほど、評価が高くなる。
    • 経営状況分析における寄与度は8指標中最大。
    • 支払利息に手形割引料が含まれていたら、手形割引損に振り替えて支払利息を減らす。
    • 対策:有利子の借入金を減らす、売上高を増やす。
  • Y2:負債回転期間(倍または月)
     期末における負債総額が月商の何か月分になるかを示す指標
    Y2=(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
    0.9 ≤ Y2 ≤ 18.0
    • 売上高は、完成工事高及び兼業事業売上高の合計額
    • 数値が低いほど、評価が高くなる
    • 対策:借入金の減少、売上高の増加
収益性・効率性(Y3,Y4)

企業が、調達した資本をどれだけ効率よく運用しているか、また、企業の経常的な活動において獲得した収入(売上高)からどれだけ効率的に利益を上げているか

  • Y3:総資本売上総利益率(%)
    企業の調達した資本がどのくらい売上総利益を獲得したかを示す指標
    Y3=売上総利益÷総資本(2期平均)×100
    6.5 ≤ Y3 ≤ 63.6
    • 総資本は2期平均をとる
    • 数値が高い方が効率がよいと言える
    • 総資本が3,000万円未満の場合は3,000万円とみなす
    • 経営状況における寄与度は、8指標中2番目に高い。
  • Y4:売上高経常利益率(%)
    企業の経常的な活動において、得られた収入(売上高)からどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標
    Y4=経常利益÷売上高×100
    -8.5 ≤ Y4 ≤ 5.1
    • 数値が高ければ、収益性が高い
    • 経営状況分析における寄与度は、8指標中6番目
財務健全性(Y5,Y6)

企業の資金調達の健全性を表す指標

数値が大きいほど、財務的に健全である

  • Y5:自己資本対固定資産比率(%)
    固定資産と自己資本の対応関係を示す指標
    Y5=自己資本÷固定資産×100  ※自己資本=純資産合計
    -76.5 ≤ Y5 ≤ 350.0
    • 自己資本の額は基準決算または2年平均。0円に満たない場合は0円
    • この比率が高いほどよい。
    • 経営状況分析における寄与度は、8指標中5番目
  • Y6:自己資本比率(%)
    自己資本が総資本に占める割合を示す指標
    Y6=自己資本÷総資本×100 ※総資本=資産合計
    -68.6 ≤ Y6 ≤ 68.5
    • 比率が高いほどよい。
    • 経営状況分析における寄与度は、8指標中3番目
    • 対策:利益の内部留保、増資などによる自己資本の増加、借入金の返済などによる他人資本(総資本)の減少
絶対的力量(Y7,Y8)
  • Y7:営業キャッシュフロー
    営業活動により獲得した営業キャッシュ・フローを1億円単位で表した指標
    Y7=営業キャッシュフロー÷1億円(2期平均)
    ―10.0 ≤ Y7 ≤ 15.0
    CF=経常利益+減価償却実施額+or-貸倒引当金増減額(増加はプラス)
     ー法人税、住民税、および事業税+orー売掛債権増減額(増加はマイナス)
     +or-仕入債務増減額(増加はプラス)+orー棚卸資産増減額(増加はマイナス)
     +or-未成工事受入金増減額(増加はプラス)
    • 高いほど良い。

  • Y8:利益剰余金
    会社内部に留保された利益剰余金の大きさを1億円単位で示した指標
    Y8=利益剰余金÷1億円
    ー3.0 ≤ Y8 ≤ 100.0
    • 高いほど良い。
    • 利益剰余金の少ない中小企業は高得点を望めない

申請書の添付書類

  • 会社法上の大会社であってかつ有価証券報告書提出会社である場合においては、連結会社の直前3年の各事業年度の連結貸借対照表、連結損益計算書、聯克株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書、それ以外の法人である場合には、直前3年の各事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び注記表、個人である場合は、直前3年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書
  • 建設業以外の事業を併せて営む者にあっては、直前3年の各営業年度の兼業事業売上原価報告書

経営状況分析の結果の通知(27条の25)

登録経営状況分析機関は、遅滞なく分析結果に係る数値を申請者に通知しなければならない。結果の通知を受けた建設業者は、当該結果を自らの責任で国土交通大臣又は都道府県知事に対する総合評定値の請求などに用いることとなる。