建設業における技術者制度の見直しが行われます

建設業における中長期的な担い手の確保・育成を図るため、建設業法に基づく技術検定の受検資格の見直しや、一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和等を行う「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」及び関連告示が、令和5年5月12日、公布されました。

1.改正概要

【施工技術検定規則関係】
(1)技術検定の受検資格の見直し
    技術検定合格者の技術力の水準を維持しつつ技術検定制度の合理化を図ることとし、
    令和6年度以降の受検資格を以下のとおりとする。
    ・1級の第1次検定は、19歳以上(当該年度末時点)であれば受検可能(学歴及び実務経験要件の撤廃)
    ・2級の第1次検定は、17歳以上(当該年度末時点)であれば受検可能(変更なし)
【一級の第二次検定】(実務経験短縮措置等)
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後同検定種目に関し実務経験5年以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後同検定種目に関し特定実務経験※1年以上を含む実務経験3年以上  
※特定実務経験
 請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験
(発注者側技術者の経験、建設業法の技術者配置に関する規定の適用を受けない工事の経験等は特定実務経験には該当しない)
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後同検定種目に関し監理技術者補佐(法第26条第3項ただし書)としての実務経験
1年以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする二級の第二次検定に合格した後同検定種目について一級の第一次検定に合格した者であって、当該二級の第
二次検定に合格した後同検定種目に関し実務経験5年以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする二級の第二次検定に合格した後同検定種目について一級の第一次検定に合格した者であって、当該二級の第
二次検定に合格した後同検定種目に関し特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
・国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者

【二級の第二次検定】(学歴に応じた実務経験年数の差異を撤廃)
・受検しようとする第二次検定と検定種目(※)を同じくする二級の第一次検定に合格した後、同検定種目(※)に関し実務経験3年(建設機械施工管理にあっては2
年)以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後、同検定種目(※)に関し実務経験1年以上
・国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者
(※)検定種別の定められている検定種目にあっては、検定種別。

     (なお、令和10年度までの間は、制度改正前の受検資格要件による2次検定受検が可能)

(2)技術検定の実施内容及び合格者のインターネット公表(第3条・第8条関係)
 技術検定の実施期日、実施場所等の事項及び技術検定の合格者は、国土交通大臣(合格者については国土交通大臣又は指定試験機関)がインターネットの利用その
他適切な方法により公表することとする。
(3)技術検定の受検申請書類等に係る権限の指定試験機関への委任(第4条から第7条まで関係)
 技術検定受検申請書(様式第1号)、実務経験証明書(様式第2号)、技術検定全部又は一部免除申請書(様式第3号又は第4号)及び技術検定受検票(様式第5
号)について、指定試験機関が様式及び書類を定めることができることとする。
(4)技術検定合格証明書における本籍の記載の削除(第10条関係)
 技術検定合格証明書(様式第6号)に本籍の記載を行わないこととし、本籍に変更があった場合における合格証明書の書換え申請を不要とする。

【建設業法施行規則関係】
 (5)一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和
    1級の第1次検定合格者を大学指定学科※卒業者と同等とみなし、
    また、2級の第1次検定合格者を高校指定学科※卒業者と同等とみなすこととする。
    ※指定学科とは、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第1条に掲げる学科をいい、建築学や土木工学に関する学科等がこれに該当します。

検定種目

指定学科
土木施工管理・造園施工管理土木工学
建築施工管理建築学
電気工事施工管理電気工学
管工事施工管理機械工学

(6)電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録された情報に係る表示の方法(第7条の16第2項、第14条の4第9項、第17条の16第2項、第17条の30第
3項及び第4項、第18条の16第2項、第21条の8第2項並びに第26条第6項から第8項まで関係)
 電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録された情報が、出力装置の映像面に表示されるときは、当該情報を紙面で作成したものに代えることができることとする。

(7)電磁的方法により作成された施工体制台帳等の紙面表示義務の緩和(第14条の2第3項及び第4項関係)
 施工体制台帳及びその添付書類の記載事項が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録されている場合に、当該施工体制台帳等を工事現場にお
いて出力装置の映像面に表示することが可能であるときは、紙面への表示は求めないこととする。

(8)監理技術者資格者証における本籍の記載の削除(第17条の35関係)
 監理技術者資格者証(様式第25号の5)に本籍の記載を行わないこととし、本籍に変更があった場合における資格者証の記載事項の変更に係る届出を不要とする。

(9)監理技術者資格者証の記載事項に変更があった場合等における新たな資格者証の交付申請(第17条の36・第17条の37関係)
 監理技術者資格者証の記載事項に変更があった場合又は資格者証を亡失し、滅失し、汚損し、若しくは破損した場合に、再交付申請等のほか、新たな資格者証の交
付申請を行うことを可能とする。

(10)監理技術者資格者証の更新手続の見直し(第17条の38関係)
 監理技術者資格者証の有効期間の更新の申請は、当該監理技術者資格者証の有効期間満了の日の30日前までに行うものとする。

(11)その他所要の改正等
上記のほか、改正令に伴う条ずれ対応など所要の改正等を行う。

2.スケジュール
 公布日:令和5年5月12日(金)
 施行日:公布日 (2)(3)(6)(7)
     令和5年7月1日(土)【一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和】 (5)(8)(9)(10)
     令和6年4月1日(月)【技術検定の受検資格の見直し】 (1)(4)

2023年5月12日