公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)

  • 公共工事品確法は、議員立法で成立し、平成17年4月1日に施行されました。
  • この法律は「ダンピング受注」「くじ引き入札の防止」「不良不適格業者の排除」など公共工事の入札・契約制度と建設業界が抱える問題の解消を目指して作られました。
  • 入札・契約制度改革の「突破口」とされています。

目的

公共工事の品質確保に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めることにより、現在及び将来の公共工事の品質確保を促進し、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成・確保の促進を図る。

基本理念

  • 国及び地方公共団体並びに公共工事の発注者及び受注者がそれぞれの役割を果たすこと
  • 建設工事の特性に鑑み、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格と品質が総合的に優れた契約を行うこと
  • 民間事業者の能力の適切な評価と技術提案及び創意工夫の活用
  • 施工技術の向上とそれを有する者の中長期的な育成・確保
  • 災害対策を含む地域維持の担い手確保への配慮
  • 下請契約を含む請負契約の適正化と公共工事に従事する者の賃金、安全衛生等の労働環境改善
  • 適切な点検・診断・維持修繕等の維持管理の実施
  • ダンピング受注の防止
  • 技術者能力の資格による評価等による調査・設計(点検・診断を含む)の品質確保

多様な入札・契約制度の活用

  • 技術提案交渉方式
    民間のノウハウを活用、実際に必要とされる価格で契約
  • 段階的選抜方式
    受発注者の事務負担の軽減
  • 地域社会資本の維持管理に資する方式
    地元中小建設業者の安定受注の確保

発注者の責務

  • 発注者は、基本理念に則り、発注関係事務(仕様書・設計書の作成、予定価格の作成、入札・契約方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督・検査・施工状況の確認・評価等)を適切に実施
  • 発注者は、施工状況の評価等の資料が有効に活用されるよう保存及び措置。また、発注関係事務実施に必要な職員の配置等に努力

政府等の取り組み

  • 政府は、公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本方針を策定。関係省庁、地方公共団体等は、基本方針に基づき必要な措置を実施するよう努力
  • 政府は、関係行政機関による協力体制の整備等を措置

品質を確保するための発注手続

  • 発注者は、競争参加者の技術的能力(工事の経験、施工状況の評価、配置予定技術者の経験等)を審査
  • 発注者は、競争参加者から技術提案を求めるよう努力し(工事の内容からみて必要がない場合は除外)、これを適切に審査・評価。この際、公平性。透明性を確保するよう措置
  • 発注者は、審査において技術提案についての改善を求め、又は改善を提案する機会を与えることが可能。その過程の概要は公表
  • 発注者は、高度な技術等を含む技術提案を求めたときは、技術提案の審査後に予定価格を定めることが可能。この際、中立の立場で公正な判断ができる学識経験者の意見を聴取

発注者の支援

  • 発注者は、自ら発注関係事務を適切に実施することが困難である時は、国、地方公共団体その他の者の能力を活用する努力。その際、知識・経験、法令順守・秘密保持等の条件を備えた者を選定
  • 国・都道府県は、発注関係事務を適切に実施することができる者の育成等に努力

ポイント

  • 発注者は、工事成績評定について、公正な評価を行うとともに、評定結果の発注者間での相互利用を促進するため、国と地方公共団体との連携により、事業の目的や工事特性を考慮した評定項目の標準化に努めなければなりません。
  • 技術検査については、工事の施工状況の確認を充実させ、施工の節目において適切に実施し、施工について改善を要すると認めた事項や現地における指示事項を書面により受注者に通知するとともに、技術検査の結果を工事成績評定に反映させます。
  • 公共工事の調達を従来の「価格のみの競争」から「価格と品質」の両面からの競争に転換することを打ち出したことが最大の特徴で「技術者を育て、良いモノをまじめにつくる」建設業者を適正に評価するための入札方式として「総合評価方式」が急速に広まりつつあります。

二つの落札者決定方式

価格競争方式
「最低価格自動落札方式」=従来の原則
総合評価方式
価格と価格以外の要素を総合的に勘案=品確法の原則