未成工事支出金がないということ

未成工事支出金という勘定科目をご存知でしょうか?

未成工事支出金は、建設業財務諸表の流動資産というところに書かれた勘定科目です。

ここには、引渡しを完了していない工事に要した工事費並びに材料購入、外注のための前渡金、手付金等の金額を記載します。

建設業に関わる仕事をしていると、未成工事支出金の記載がない財務諸表を見ることがあります。

 

未成工事支出金がないということはどういう状態かというと、

  1. 期末において、費用のかかった施工中の工事がない。
  2. 工事進行基準を採用しており、未成工事支出金勘定を完成工事原価勘定に振り替えている。

という状態になります。

ⅱの場合は、そういう会計処理の仕方なので問題ないですが、

ⅰの場合は、たまたま期末に施工中の工事がなかったという場合なので、

施工中の工事はあるけど、未成工事支出金の計上がない

場合は、未成工事支出金の計上漏れとなります。

もちろん、施工中の工事に費用が生じなければ未成工事支出金に記載する金額はありませんが、何らかの作業を始めたのであれば、少なくとも人件費は発生しているはずです。

 

では、実際に発生した費用はどこに行っているかというと、原価や経費に計上されているものと思われます。以下に、建設業会計における原価の考え方をご紹介します。

建設業の完成工事原価には、材料費、労務費、外注費、経費があります。これらは消費されたらまず、未成工事支出金勘定に計上します。

未成工事支出金勘定は工事が完成した後、完成工事原価勘定に振り替えられ、その内訳を記載したものが建設業財務諸表の完成工事原価報告書となります。まだ完成していない工事の費用については、未成工事支出金勘定のまま流動資産として、翌期に繰り越すことになります。

つまり、工事が完成した時点で初めて原価になるのであって、消費した時点で原価にすることは適正な会計処理とは言えません。

毎年、未成工事支出金の計上がない財務諸表は、このような過程を省略しているものと思われます。

 

なぜこのような「省略」が起きるかというと、現場ごとに費用を把握することが難しく、工事完成後に勘定科目を振り替えるのが煩雑だからだと思われます。

同時に現場を複数受け持つような場合は、現場ごとに消費した費用を把握しなければなりませんが、そこまで手が回らない建設業者様が多いのかもしれません。

 

また、会計を専門家に委ねているのにも関わらず、そのような「省略」が起こることも散見されます。

こちらの場合は、外部から把握することの難しさというのもあるでしょう。

ただ、それが期末に起こると、専門家が関係しているのにも関わらず計上漏れしたことになります。

 

未成工事の費用を完成工事原価に含めることで、売上に対応しない経費を計上してしまうことになります。売上も都度計上しているから問題ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、一定の期間ごとに注文者から支払われる出来高払いは売上ではありません

請負契約は仕事の完成を目的とするので、仕事の完成前に受け取った金額は前受金になります。

出来高払いで前受金を受け取っていた場合は、工事完成後に売上に振り替えます。

未成工事の前受金を売上に計上する方法として、工事進行基準を採用する方法があります。工事進行基準を採用する場合は、建設業財務諸表の注記表に記入します。

ただ、工事進行基準でも工事の進捗度に基づく詳細な計算をするので、やはり出来高払いがそのまま売上とはなりません。

 

建設業会計は、以上のような特殊性を持っています。

建設業者の皆様におかれましては、適切な会計処理を行い、それが難しい場合は建設業会計の知識のある専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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