入札・契約制度について
業行政と発注行政
- 業行政
- 建設産業政策の実現を図るための行政組織で、国においては国土交通省総合政策局建設業課が担い、神奈川県では県土整備局建設業課が担っている。
- 発注行政
- 国及び地方公共団体のすべての公共調達を行う行政組織。入札・契約を担当する行政組織の総称
沿革
江戸時代から明治期にかけては、公共事業の請負形式は、少数の指名入札か匿名随意契約がもっぱらであった。
明治22年 会計法制定 「一般競争入札」が原則
明治33年 「政府の工事又は物件の購入に関する指名競争の件」指名競争入札の導入
平成5年 一般競争入札の導入
公共調達における基本的な枠組み
公共調達に係る基本的な枠組みについては、国においては会計法で、地方公共団体においては地方自治法で規定されている。
- 競争入札
- 契約の性質等に応じ、一般競争入札、指名競争入札、随意契約によることとされている。特に、会計法においては、一般競争入札が原則とされている。
- ・「一般競争入札」方式
- 一定の資格のある不特定多数の希望者のすべてを入札競争に参加させる方式
- ・「指名競争入札」方式
- 発注者が技術力・経営状況等について適当と認める複数の業者を指名し、指名業者のみを参加させる入札方式であり、競争に参加できるものが少数で一般競争を行う必要がない場合や一般競争によることが発注者に不利な場合など一定の場合に限って認められている。
- ・「定期入札」
- 名簿認定期間の始期から認定を受ける場合
- ・「随時入札」
- 名簿認定機関の始期から認定を受ける場合
- ・「随意契約」(例外)
- 入札によることなく、発注者が適当と認めるものを選んで契約を締結する方法であり、契約の性質又は目的が競争にそぐわない場合(会計法29条の3)等一定の場合に限って認められている。
- 競争参加資格については、必要に応じ発注者が定めることができるとされている。
→ 入札参加資格審査申請
- 契約の性質等に応じ、一般競争入札、指名競争入札、随意契約によることとされている。特に、会計法においては、一般競争入札が原則とされている。
- 予定価格制度(上限拘束性)
- 予定価格の制限の範囲で入札した者でなければ、契約の相手方とはできない。総合評価を行った場合でも同様。
- 会計法においては、予定価格を秘匿して入札を行うこととされている。
- 最低価格自動落札
- 最高又は最低の価格で入札した者を契約の相手方とすることとされている。
- 落札者となるべき価格の入札が複数あるときは、くじで落札者を決定することとされている。
- 最低価格自動落札の例外
- 総合評価制度
契約の性質等に応じ、価格その他の条件が最も有利な者と契約することができる。なお、国にあっては、あらかじめ財務大臣と協議を行う必要がある。 - 低入札価格調査制度
契約の相手方となるべき者の入札価格が、一定水準以下の価格である場合には、適切な履行が可能かどうか調査を行い、調査の結果に応じ、次順位者と契約することができる。 - 最低制限価格制度
地方公共団体においては、必要に応じ最低制限価格を設定することができる。
- 総合評価制度
神奈川県いのち貢献度指名競争入札について「国土交通省ホームページ」
技術提案による競争の促進
- VE方式
- 設計VE
設計時に、VE検討組織を発注者又はVE検討業務委託先(建設コンサルタント)に設置し、VE検討組織が提出した基本設計あるいは詳細設計に対しての代替案について、発注者内部に設置したVE審査会が検討を行い、VE提案が採用された場合にはその提案を基に設計・積算を行う方式(工事発注については通常の入札による)。 - 入札時VE
工事の入札時に入札参加者の技術提案を受付け、技術提案が発注者の事前審査で承認された場合、当該提案を行った入札参加者はその技術提案を基に入札することができる方式(発注者が行う予定価格の積算等には反映されない)。 - 契約後VE
工事の契約後に受注者からの技術提案を受付け、採用された場合、当該提案に従って設計図書を変更し、受注者には縮減額の一部を支払う方式
- 設計VE
- 設計・施工一括発注方式
施工方法が複数ある場合、設備工事等で設計と製造・施工が密接不可分な場合等において、最良の設計・工法の採用を可能とすること等の観点から、通常分離して発注している設計・施工を一括して発注するもの - 総合評価落札方式
履行保証制度
請負者の責めに帰すべき事由により、工事を完成させることができなくなった場合に、発注者に保証金(違約金)を支払う措置(金銭的保証措置)
従来、契約額の1割だった履行保証割合を大型工事について3割に引き上げた。
前払金保証制度
公共工事の発注者が保証会社の保証を条件として、着工時に工事代金の一部(請負代金の40%以内)を請負者に前払金(着工資金)として支払うことができる制度。通常、着工時に40%、完成時に60%の請負代金が請負者に支払われている。
公共工事の監督・検査
契約締結後、当該契約の完全な履行を図るため、会計法及び地方自治法により、監督・検査を行うことが義務付けられている。必要に応じ、外部委託して実施することも認められている。