建設業における技術者制度の見直しが行われます

建設業における中長期的な担い手の確保・育成を図るため、建設業法に基づく技術検定の受検資格の見直しや、一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和等を行う「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」及び関連告示が、令和5年5月12日、公布されました。

1.改正概要

【施工技術検定規則関係】
(1)技術検定の受検資格の見直し
    技術検定合格者の技術力の水準を維持しつつ技術検定制度の合理化を図ることとし、
    令和6年度以降の受検資格を以下のとおりとする。
    ・1級の第1次検定は、19歳以上(当該年度末時点)であれば受検可能(学歴及び実務経験要件の撤廃)
    ・2級の第1次検定は、17歳以上(当該年度末時点)であれば受検可能(変更なし)
【一級の第二次検定】(実務経験短縮措置等)
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後同検定種目に関し実務経験5年以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後同検定種目に関し特定実務経験※1年以上を含む実務経験3年以上  
※特定実務経験
 請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験
(発注者側技術者の経験、建設業法の技術者配置に関する規定の適用を受けない工事の経験等は特定実務経験には該当しない)
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後同検定種目に関し監理技術者補佐(法第26条第3項ただし書)としての実務経験
1年以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする二級の第二次検定に合格した後同検定種目について一級の第一次検定に合格した者であって、当該二級の第
二次検定に合格した後同検定種目に関し実務経験5年以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする二級の第二次検定に合格した後同検定種目について一級の第一次検定に合格した者であって、当該二級の第
二次検定に合格した後同検定種目に関し特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
・国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者

【二級の第二次検定】(学歴に応じた実務経験年数の差異を撤廃)
・受検しようとする第二次検定と検定種目(※)を同じくする二級の第一次検定に合格した後、同検定種目(※)に関し実務経験3年(建設機械施工管理にあっては2
年)以上
・受検しようとする第二次検定と検定種目を同じくする一級の第一次検定に合格した後、同検定種目(※)に関し実務経験1年以上
・国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者
(※)検定種別の定められている検定種目にあっては、検定種別。

     (なお、令和10年度までの間は、制度改正前の受検資格要件による2次検定受検が可能)

(2)技術検定の実施内容及び合格者のインターネット公表(第3条・第8条関係)
 技術検定の実施期日、実施場所等の事項及び技術検定の合格者は、国土交通大臣(合格者については国土交通大臣又は指定試験機関)がインターネットの利用その
他適切な方法により公表することとする。
(3)技術検定の受検申請書類等に係る権限の指定試験機関への委任(第4条から第7条まで関係)
 技術検定受検申請書(様式第1号)、実務経験証明書(様式第2号)、技術検定全部又は一部免除申請書(様式第3号又は第4号)及び技術検定受検票(様式第5
号)について、指定試験機関が様式及び書類を定めることができることとする。
(4)技術検定合格証明書における本籍の記載の削除(第10条関係)
 技術検定合格証明書(様式第6号)に本籍の記載を行わないこととし、本籍に変更があった場合における合格証明書の書換え申請を不要とする。

【建設業法施行規則関係】
 (5)一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和
    1級の第1次検定合格者を大学指定学科※卒業者と同等とみなし、
    また、2級の第1次検定合格者を高校指定学科※卒業者と同等とみなすこととする。
    ※指定学科とは、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第1条に掲げる学科をいい、建築学や土木工学に関する学科等がこれに該当します。

検定種目

指定学科
土木施工管理・造園施工管理土木工学
建築施工管理建築学
電気工事施工管理電気工学
管工事施工管理機械工学

(6)電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録された情報に係る表示の方法(第7条の16第2項、第14条の4第9項、第17条の16第2項、第17条の30第
3項及び第4項、第18条の16第2項、第21条の8第2項並びに第26条第6項から第8項まで関係)
 電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録された情報が、出力装置の映像面に表示されるときは、当該情報を紙面で作成したものに代えることができることとする。

(7)電磁的方法により作成された施工体制台帳等の紙面表示義務の緩和(第14条の2第3項及び第4項関係)
 施工体制台帳及びその添付書類の記載事項が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録されている場合に、当該施工体制台帳等を工事現場にお
いて出力装置の映像面に表示することが可能であるときは、紙面への表示は求めないこととする。

(8)監理技術者資格者証における本籍の記載の削除(第17条の35関係)
 監理技術者資格者証(様式第25号の5)に本籍の記載を行わないこととし、本籍に変更があった場合における資格者証の記載事項の変更に係る届出を不要とする。

(9)監理技術者資格者証の記載事項に変更があった場合等における新たな資格者証の交付申請(第17条の36・第17条の37関係)
 監理技術者資格者証の記載事項に変更があった場合又は資格者証を亡失し、滅失し、汚損し、若しくは破損した場合に、再交付申請等のほか、新たな資格者証の交
付申請を行うことを可能とする。

(10)監理技術者資格者証の更新手続の見直し(第17条の38関係)
 監理技術者資格者証の有効期間の更新の申請は、当該監理技術者資格者証の有効期間満了の日の30日前までに行うものとする。

(11)その他所要の改正等
上記のほか、改正令に伴う条ずれ対応など所要の改正等を行う。

2.スケジュール
 公布日:令和5年5月12日(金)
 施行日:公布日 (2)(3)(6)(7)
     令和5年7月1日(土)【一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和】 (5)(8)(9)(10)
     令和6年4月1日(月)【技術検定の受検資格の見直し】 (1)(4)

2023年5月12日

建設業許可・経営事項審査の電子申請について

令和5年1月10日(火)から、一部の行政庁を除いて、建設業許可・経営事項審査の申請等について、電子申請できるようになります。電子申請は、GビズIDを用いて建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP:Japan Construction Industry electronic application Portal)から行います。
※ 電子申請受付開始時期は、申請先の行政庁によって異なります。
※ 従前どおりの書面による申請も可能です。

電子化の対象となる手続

建設業許可

新規申請
(新規許可、許可換え、般特許可、業種追加、更新)
※ 承継認可申請は対象外

変更等の届出
(事業者の基本情報、経営業務管理責任者、営業所の専任技術者、営業所の代表者等)
廃業等の届出
決算報告
経営事項審査関係経営事項審査申請(経営規模等評価、総合評定値)

再審査申請(経営規模等評価、総合評定値)
※ 当面の間、紙申請のみ

電子申請システムの利用にあたって

電子申請システムの利用にあたっては、まずデジタル庁が発行するGビズIDを取得する必要があります。
※ 申請者はgBizプライムアカウントを所持し、プライム及びメンバーのアカウントでログインすることができます。

電子申請のメリット

  1. バックヤード連携している書類については、当該書類の取得や添付が不要になる(納税情報取得にはe-Taxの登録が必要)。
    ※ バックヤード連携については、対象範囲が順次拡大される。
  2. 一部入力の省略ができる。
  3. システムによるエラーチェックや自動計算が行われる。

電子申請のデメリット

  1. 良くも悪くもシステムに依存するため、システムに問題が生じた場合に影響を受ける。
  2. 紙申請も押印が省略されるなど簡略化されているため、一部書類では紙申請より手間がかかることが予想される。

建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)について

  1. 利用時間は2:00~23:50
  2. スマホは不可。対応OSはWindows。対応ブラウザはMicrosoft EdgeとGoogle Chrome。
  3. アップロードできるファイル形式は、PDF,gif,bmp,jpg,png,tiff
2023年1月10日

経営事項審査の改正(令和5年1月1日施行)

経営事項審査の改正(令和4年8月15日公布)に基づき、令和5年1月1日から経営事項審査の評価項目が一部変更となります。

変更はその他の審査項目(社会性等)のみです。

 (変更箇所)

 「ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況」の新設

 ・ 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定の状況(えるぼし認定)

 ・ 次世代育成支援対策推進法に基づく認定の状況(くるみん認定)

 ・ 青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく認定の状況(ユースエール認定)

 「建設機械の保有状況」の対象の拡大

 「エコアクション21の認証の有無」の追加

 

 

再審査の申立て

 改正前の評価方法に基づく経営事項審査の結果の通知を受けた者は、改正の日から120日以内に限り、再審査(当該改正に係る事項についての再審査に限る。)を申し立てることができます。

※ 当面の間、1月10から始まる電子申請においては、再審査申請はできません。

2023年1月1日

年末年始休業のお知らせ

誠に勝手ながら、下記期間を年末年始休業とさせていただきます。
なお、期間中メールフォームによるお問合せは受付けておりますが、弊所からの返答は休業明け後の1月4日(水)以降に順次対応させていただきます。

期間中は大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

【休業期間】2022年12月29日(木)~2023年1月3日(火)

今後ともご愛顧を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

2022年12月1日

建設業法規則改正の見通し(令和5年1月1日施行予定)

令和5年1月1日施行予定の「建設業法施行規則の一部改正」において、以下の内容が定められる見通しです。パブリックコメント募集後、令和4年8月~9月ころの公布が予定されています。

 

(1)許可申請の電子化に伴う提出書類の一部省略(第3条・第4条・第13条関係)

 建設業許可申請時に必要な建設業法(昭和24年法律第100号。以下「法」という。)第7条第2号に掲げる基準(技術者資格)を満たしていることを証する書類について、電子申請を行う場合には、当該書類のうち、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号。以下「規則」という。)別記様式第8号による証明書(専任技術者証明書)以外の国土交通大臣が定める書類の提出を省略することができることとする。
 また、規則第4条第1項各号に掲げる書類(財務諸表、登記事項証明書、納付済み額を証する書面等)についても、電子申請を行う場合には、同項第6号から第11号まで、第14号及び第15号に掲げる書類のうち国土交通大臣が定める書類の提出を省略することができることとする。

 経営事項審査申請に関しても、電子化となることが予定されている。申請だけでなく許可通知や結果通知書についても電子送付となる予定。

詳細は告示で定められる予定。

電子申請は、「GビズID」による認証が用いられる予定。

 

◇バックヤード連携(現時点での想定)

連係情報連携先連携対象連携時期備考
登記事項証明書法務省大臣・法人R5.1~知事許可の連携は現在調整中
納税情報法人税/所得税国税庁大臣・法人/個人R5.1~個人の連携時期は現在調整中
消費税/地方消費税国税庁大臣/知事・法人/個人R5.1~個人の連携時期は現在調整中
事業税都道府県知事・法人/個人調整中 
技術検定合格証明書国土交通省すべてR5.1~ 
経営状況分析結果通知書登録経営状況分析機関すべてR5.1~ 
監理技術者資格者証(一財)建設業技術者センターすべてR5年度 
監理技術者講習修了証国土交通省すべてR5年度 
建設業経理士登録証

(一財)建設業振興基金

すべてR5年度 
登録建設業経理士講習修了証(一財)建設業振興基金すべてR5年度 

 

(2)経営事項審査における社会性等(W)の評価項目の改正(第18条の3・別記様式第25号の14・第25号の15関係)

 「建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況」として以下の①~④を、「建設機械の保有状況」として以下の⑤を、「国際標準化機構又は国が定めた規格による登録又は認証の状況」として以下の⑥をそれぞれ新たに評価することとする。

① 審査基準日における女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づく「えるぼし認定(1段階目)」「えるぼし認定(2段階目)」「えるぼし認定(3段階目)」「プラチナえるぼし認定」の取得状況

② 審査基準日における次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づく「くるみん認定」「トライくるみん認定」「プラチナくるみん認定」の取得状況

③ 審査基準日における青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号)に基づく「ユースエール認定」の取得状況

④ 審査基準日以前1年以内に請け負った「民間工事を含む全ての建設工事」又は「全ての公共工事」において、建設キャリアアップシステム上で就業履歴を蓄積するために必要なカードリーダー設置など、国土交通大臣が定める必要な措置の実施状況
 運用上は、要件に該当する旨の誓約書の提出と抽出調査等による確認をもって加点することとなる予定。

建設業許可を要しない軽微な工事(請負代金額500万円未満(建築一式工事の場合は1,500万円)の工事又は建築一式工事のうち延べ面積が150㎡に満たない木造住宅を建築する工事)及び災害応急工事(発災直後の応急対策であって災害協定に基づく契約又は発注者の指示により実施された工事等)等を除く(詳細は告示で定められる予定)。

⑤ 審査基準日において、自ら所有し、又はリース契約により使用する以下の建設機械の保有台数
・土砂等を運搬する貨物自動車であって、自動車検査証の「車体の形状」の欄に「ダンプ」、「ダンプフルトレーラ」又は「ダンプセミトレーラ」と記載があるもの(最大積載量による制限なし)
・労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第13条第3項第34号に規定する作業床の高さが2メートル以上の高所作業車、同令別表第7第4号に掲げる締固め用機械(ロードローラ、振動ローラ等)及び同表第6号に掲げる解体用機械(ブレーカ、解体用掴み機等)

 

⑥ 審査基準日におけるエコアクション21の認証の取得状況
 ISO14001認証も取得している場合は、エコアクション21認証取得による加点は行われない予定。

2022年7月4日

建設業法施行規則の一部改正(令和4年3月31日施行)

 建設業法施行規則(昭和 24 年建設省令第 14 号。以下「規則」という。)の一部改正を含む建設業法施行規則及び公共工事の前払金保証事業に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和4年国土交通省令第 19 号)が令和4年3月31日下記の通り公布及び施行されました。

                    記
(1)工事現場における書面での掲示義務の緩和(規則第 14 条の3関係)
 規則第 14 条の3第1項の規定により、施工体制台帳を作成する元請の建設業者(以下「作成建設業者」という。)は、下請負人に対し、「作成建設業者の商号又は名称」、「当該下請負人がその建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは作成建設業者に対し再下請負通知を行わなければならない旨」及び「当該再下請負通知に係る書類を提出すべき場所」を書面により通知し、これらの事項を記載した書面を当該建設工事の現場の見やすい場所に掲示しなければならないこととされてきたところ、同項の規定による掲示については、同内容を記録した電磁的記録を当該工事現場の見やすい場所に備え置く出力装置の映像面に表示する方法により当該下請負人の閲覧に供することができることとし、書面による掲示に限らず、デジタルサイネージを含む ICT 機器を活用し、画面上に表示することを可能とした

(2)地方整備局長等が行うことのできる建設業者への立入検査等の範囲の拡大(規則第 30 条関係)
 建設業法(昭和 24 年法律第 100 号)第 31 条第1項及び第 41 条の規定に基づく国土交通大臣の立入検査等の権限については、これまでは建設業者の主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局長及び北海道開発局長(以下「地方整備局長等」という。)のみに委任されてきたところであるが、今般、下請取引における不適正な事案に対して、機動的かつ効果的な対応を可能とするため、これらの規定に基づく国土交通大臣の権限のうち建設業者の従たる営業所その他営業に関係のある場所(以
下「従たる営業所等」という。)に関するものについては、当該従たる営業所等の所在地を管轄する地方整備局長等もその権限を行うことができることとした。

(3)新たな企業会計基準の公表及び会社計算規則(平成 18 年法務省令第 13 号)の改正を踏まえた所要の改正(規則第 10 条第1項関係)
 建設業者は、毎事業年度終了後4月以内に許可行政庁あてに、規則に定められた様式を用いて財務諸表を提出することとされているところ、今般、有価証券報告書の提出義務がある会社にあっては、新たに企業会計基準委員会により作成された「収益認識に関する会計基準」が令和3年4月1日以後に開始される事業年度から強制適用されたこと等を踏まえ、当該様式について所要の改正を行った。

<改正された様式> 

  • 様式第二号 工事経歴書 ※記載要領のみ改正
  • 様式第十五号 貸借対照表(法人用)
  • 様式第十七号 株主資本等変動計算書
  • 様式第十七号の二 注記表
  • 様式第十九号 損益計算書(個人用)
2022年4月1日

経営事項審査の改正(令和3年4月1日)

令和3年3月26日、国土交通省告示第246号にて、経営事項審査の評点算出方法が改正されました。この告示は、令和3年4月1日から施行されます。

この告示の概要は、以下の内容になります。

  1. 技術職員数(Z1)に係る改正
    監理技術者補佐(監理技術者を補佐する資格を有する者)が加点(評点4点)対象となった。監理技術者補佐は、主任技術者となる資格を有し、1級技士補である者が該当する。
  2. 労働福祉の状況に係る改正
    法定労災の上乗せとして、任意の保証制度に加入している場合に加点されるが、中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者との間の契約についても加点対象となった。
  3. 建設業の経理の状況(W5)に係る改正
     建設業経理士試験合格者について、合格した日の属する年度の翌年度の日から起算して5年を経過した場合は、登録経理講習等を期間内に受けないと加点されなくなった。ただし、平成29年3月31日以前の合格者は、令和5年3月31日までの間は加点される。
  4. その他の審査項目(社会性等)に「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」が追加された(W10)。
    a) 技術者一人当たりCPD取得単位数
     技術者(主任技術者又は監理技術者になるべき資格を有する者及び一級又は二級の第一次検定に合格した者)が審査基準日以前1年間に取得したCPD(建設系CPD協議会、建築CPD運営会議又は建築設備士関係団体CPD協議会に加盟する団体によって認定を受けた継続学習)単位の合計数を技術者の数で割った数値
    b) 能力評価基準による評価の区分が3年以内にレベルアップした者の割合
     建設技能者の能力評価制度に関する告示(平成 31 年国土交通省告示第 460 号)第3条第2項の規定により同項の認定を受けた能力評価基準による評価の区分が、審査基準日以前3年間に1以上レベルアップした者の数を技能者数で割った数値
    ※技能者数:審査基準日以前3年間に建設工事の施工に従事した者の数から、建設工事の施工の管理に従事した者の数を除いた数

経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日改正)(国土交通省のホームページ)

建設業法改正(令和2年10月1日施行)

1 許可要件の改正(法7条1号)

【改正前】「経営業務の管理責任者がいること」
           ⇩
【改正後】「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」

「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」とは、次の①及び②の要件を満たすものをいう(省令7条)。

① 適切な経営能力を有すること

常勤役員等のうち一人が次のイ(1)からロ(2)のいずれかに該当する者であること。

※常勤役員等:法人の場合は常勤の役員、個人の場合はその者又は支配人をいう。以下同じ。

イ(1)建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者(以下「経管」という。)としての経験を有する者
※ 改正以前のいわゆるイ該当、ロ該当で経管の要件に該当した者は、新要件イ(1)に該当します。
イ(2)建設業に関し、5年以上経管に準ずる地位(経営業務を執行する権限の委任を受けた執行役員)にある者として、経営業務を管理した経験を有する者
イ(3)建設業に関し、6年以上経管に準じる地位にある者として、経管を補助する業務に従事した経験を有する者
ロ(1)
  • 建設業に関する2年の役員等としての経験を含む、5年以上建設業に関する財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者
  • 直接に補佐する者(以下「補佐者」という。)として、次のすべての者を置くこと。
    (a)建設業の財務管理の業務経験5年を有する者
    (b)建設業の労務管理の業務経験5年を有する者
    (c)建設業の業務運営の業務経験5年を有する者

※ 上の(a)~(c)は一人が複数の業務経験を兼ねることができる。また、兼ねていた機関の経管は、それぞれの業務経験の期間として計算できる。

ロ(2)
  • 建設業に関する2年の役員等としての経験を含む、5年以上(建設業に限らず)役員等としての経験を有する者

  •  

    補佐者を置くこと。(上記a~cのすべての者)

② 適切な社会保険に加入していること

適切な社会保険加入が建設業許可を受ける(継続する)ための要件となりました。

従来からの未加入の許可業者は、次の申請までに加入手続きを行うことが必要となります。

2 許可を受けた地位の承継制度の新設

建設業の譲渡及び譲受け並びに合併及び分割(以下「事業譲渡等」という。)について、事前の認可を受けることで、建設魚の許可を承継することが可能となりました。また、相続についても建設業者の死亡後30日以内に申請を行い認可を受けたときは、建設業の許可を承継することが可能となりました。

  • 許可に係る建設業の全部の承継を行う場合に対象となります。
  • 承継元と承継先がともに許可業者である場合、同一の建設業に関し、一方が特定建設業、一方が一般建設業であるときは、承継の対象となりません。
  • 承継人が事業承継後に使用する許可番号は、被承継人のものを引き続き使用することとなります。ただし、承継人も建設業者である場合は、承継人が、いずれの許可番号を使用するかを選択することとなります。許可行政庁が変更となる場合、変更先の許可行政庁で新たに付番されます。
  • 許可の有効期間は、承継の日の翌日から起算して、5年間となります。
  • 建設業者としての地位の承継人は、被承継人の受けた法に基づく監督処分や経営事項審査の結果についても承継することとなります。一方、法45条から55条までに規定される罰則については、承継されません。

 

2020年10月14日

建設業許可の取り扱いについて(国交省)

国交省は、新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み、以下の内容を特例的に取り扱う旨の通知をしました。

建設業の許可の更新の申請に係る取扱いについて

 建設業法(以下「法」という。)第3条第3項の建設業の許可の更新について、当面の間、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた建設業者について、許可の更新の申請に必要な書類の一部が不足している場合であっても、許可の更新の申請を受領することとし、その上で、申請書類が揃った段階で審査を行うなどの柔軟な運用を行うことを認めることとする。この場合において、申請を受領する段階で、不足する書類の提出を誓約する旨の書面の提出を求めることや、一定の期間を設けた上でその期間内に追加の書類の提出が行われない場合は、建設業の許可の更新を認めないこととすることを通知しておくなどの措置を併せて講じることも可能である。

  •  新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた建設業者とは、新型コロナウイルス感染症に感染した者があることやまん延防止のためにテレワークや短縮営業を行っていること、株主総会等の開催が困難であり有価証券報告書を確定できないことなど、新型コロナウイルス感染症に関するなんらかの影響を受けた者であることをいう(以下同じ。)。

変更届等の提出期限について

 法第11条第2項において、建設業者は、毎事業年度経過後四月以内に、前事業年度の貸借対照表や損益計算書等を提出しなければならないこととされているところであるが、金融商品取引法において有価証券報告書の提出が一定期間猶予されていることなどの状況を踏まえ、当面の間、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた建設業者について、法第11条第2項に規定する書類に
ついて、書類の内容を確定させる手続き(株主総会の承認など)等が終了していないものを提出することも差し支えないこととする。なお、この場合は、事後的に内容確定したものを提出するよう指導することとし、その旨の誓約書の提出を求めることなども可能である。

 

2020年6月1日

建設業法施行令改正

令和2年10月1日から施行される改正建設業法について、施行令の改正が閣議決定されました。

主な改正点は以下の通りです。

監理技術者の専任義務の緩和

 元請の監理技術者に関し、これを補佐する者(主任技術者要件を満たす者のうち、監理技術者の職務に係る基礎的な知識及び能力を有する者)を置く場合は、元請の監理技術者の二つの現場の兼任を容認することとする。

下請負人の主任技術者の配置免除

 特定専門工事(下請代金の合計額が3,500万円未満の鉄筋工事及び型枠工事)については、元請の主任技術者が、下請の主任技術者が行うべき施工管理を併せて行うことができることとする。

 この手続を利用するには、関連業者間で書面による合意をし、注文者の書面による承諾を得る必要があります。

 この場合に置かれる主任技術者の要件は、以下になります。

  1. 当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し、一年以上指導監督的な実務の経験を有すること
  2. 当該特定専門工事の工事現場に専任で置かれること