「技術者」と「技能者」

建設業に関する用語として「技術者」と「技能者」というものがあります。

技術者とは、施工管理を行う者であり、主任技術者や監理技術者がこれに該当します。

技能者(技能労働者)とは、建設工事の直接的な作業を行う、技能を有する労働者のことです。

技能者の高齢化に伴い、技能者の確保、とりわけ若年層の入職が建設業の喫緊の課題となっています。

こうした現状を変革するため、建設キャリアアップシステムの構築や外国人労働者の雇用の拡大が進められています。

原本証明について

 原本証明とは、原本そのものを提出することができない場合に、原本をコピーし、その余白に原本と相違ない旨の証明をすることをいいます。建設業許可申請でも原本提示が必要な場合に、これを利用することがあります。記載は以下のようなものです。

「この写しは原本と相違ありません。
   平成〇年〇月〇日
      株式会社 〇〇
      代表取締役 〇〇 〇〇 ㊞」

証明すべき書類が一枚の場合はこれで終わりなのですが、複数枚の場合、すべてのページに上記記載をするのは大変です。そこで、ページの間に割印をすることで認められる場合や、袋とじをすることで認められる場合があります。

 神奈川県では、平成30年4月2日申請分から電子申告した確定申告書について、原本証明をして提示することを求めています(割印、袋とじ可)。法人の確定申告書はかなりの枚数になりますので、すべてのページに上記記載をしていたのでは大変です。だから割印や袋とじが認められたのでしょう。

 ただ、割印や袋とじでも大変なんですよ。今までは確定申告書の写しを提示すればよかった訳ですから。その分、申請者の方の手間が増えるし、大概の場合、提示後に書類は無用となってしまいます。

 なぜこんなことになってしまったかというと、電子データはデータそのものが原本という考えに基づくようですが、どうも財産要件を満たすためにデータを書き換えた人がいたようです。

 電子データが原本という考えについては、その通りなんですが、じゃあデータで提示すればいいのではと思ってしまいます。電子にして手間をかけてどうする、と。審査の方が大変なのは重々承知しているのですが。

 書き換えに関しては、もはや違法行為と言えるでしょう。それを予防すべく原本証明を求めるのであれば、まずは書き換えをした者を処罰すべきです。行政書士が絡んでいるのであれば、野放しにすべきではありません。

 許可申請手続きは今後簡略化する検討がされていますが、その流れに逆らうような一件でした。一部の人の不正行為で全体が不利益を被るというのは、これっきりにしてほしいものです。

実務経験の壁

 建設業許可を取得するに当たって、最大の難関は専任技術者の経験を実務経験で証明する場合だと思います。

 建設業許可の要件については「建設業のはなし」で詳述しておりますので、そちらをご覧ください。リンクはこちら

 許可の要件のうち、他の要件は「満たしているかいないか」なのに対し、専任技術者の実務経験については、認められるか否かは許可行政庁次第のところがあります。

 実務経験の証明者が建設業許可を有している場合は、他の要件の証明と似ているのですが、建設業許可を有していない場合は、取得しようとしている許可に該当する工事を必要年数分行っていたことを証明しなければなりません。

 証明に必要な確認資料については、許可行政庁によって差異があります。神奈川県は、確定申告書の事業種目欄で明確な場合は、それを必要年数分揃えれば認められます(土木一式・建築一式以外)。事業種目欄で不明確な場合は、それに代えて工事請負契約書、工事注文書、工事請書、請求書等の写しが必要になります。

 東京都は、確定申告の事業種目欄での証明を認めておらず、工事請負契約書等での証明が必要です。神奈川県の場合は、証明する期間各年1件以上という比較的緩いものなのですが、東京都の場合は、契約書等に記載された日付から厳格に判断されます。

 例えば、東京都で10年分の実務経験を認めてもらうためには、上記書類が10年分必要になります。その量は膨大となり、段ボール等に入れて持参する場合も珍しくありません。その上で記載内容によっては取得しようとする工事の経験としては認められない場合もあります。とても高い「壁」と言えるでしょう。

 専任技術者においては、「資格が強い」。建設業許可取得に向けて、あるいは突然の専任技術者不在に向けて資格の取得を目指す(もしくは資格保持者を確保する)ことが、建設業許可の取得あるいは維持において重要と言えます。

許可業種を選ぶポイント

 自社の技術力、営業内容を十分に考慮して、28の許可業種の中から業種を選択する必要があります。前提として、許可の取得にはその業種に応じた「専任技術者」に該当する人材の確保が必要です。

 たとえば、住宅リフォーム営業をする会社が、住宅内のクロスや床材の貼替えを行おうとすれば「内装仕上工事」の許可が必要です。照明関係のリフォームも行おうとすれば「電気工事」に該当します。厨房設備の改修配管を行うならば「管工事」の許可に該当します。

関係する工事の許可をすべて取る必要があるか

 一式工事の許可を取得していても、単独の専門工事(一定の金額以上)を受注する場合は、それぞれの業種の許可が必要になります。業種の選定に当たっては、どの工事(業種)を主にしたいかの視点で考えるべきです。上記の例で「内装仕上工事」が主であって、「電気工事」や管工事」が従たる工事である場合、自社で施工せず、下請に発注するのであれば、「内装仕上工事」の許可だけを取得すればいいことになります。

 また、一つの許可で済む場合もあります。たとえば、外壁の「左官工事」を行っている会社が、同時に防水効果のあるモルタルを使って「防水工事」を合わせて施工する場合、いずれかの許可を取得していればよく、両方の許可を取得する必要はありません。

 一つの工事を施工する過程で、工事内容のどの部分を担当するかによって許可業種が異なってくる場合があります。例えば鉄骨工事の場合、設計図面から鋼材を加工して鉄骨を作り現場で組み上げるという全体を施工するのは「鋼構造物工事」に当たりますが、他社の加工した鋼材を現場へ運搬して組み上げだけを担当するのは「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。

あわせて取得した方がよい許可業種

 現在、取得している業種以外に許可が不要な軽微な工事を施工している場合は、その業種が候補となります。また、付帯工事として関連受注および自社施工している場合も同様です。関連の傾向が強い許可業種を以下に示します。

土木工事業・・・とび・土工工事業、石工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、水道施設工事業、防水工事業、電気工事業、塗装工事業、機械器具設置工事業

建築工事業・・・とび・土工工事業、内装仕上工事業、大工工事業、屋根工事業、ガラス工事業、防水工事業、熱絶縁工事業、解体工事業、左官工事業、とび・土工・コンクリート工事業、石工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、建具工事業、清掃施設工事業

大工工事業・・・建具工事業、とび・土工工事業

左官工事業・・・タイル・れんが・ブロック工事業、防水工事業

とび・土工工事業・・・土木工事業、舗装工事業

石工事業・・・土木工事業、とび・土工工事業

屋根工事業・・・防水工事業、板金工事業

電気工事業・・・電気通信工事業、鋼構造物工事業、管工事業

管工事業・・・土木工事業、消防施設工事業、熱絶縁工事業、水槽施設工事業

タイル・れんが・ブロック工事業・・・とび・土工工事業

鋼構造物工事業・・・建築工事業、とび・土工・コンクリート工事業

舗装工事業・・・土木工事業、とび・土工工事業

ガラス工事業・・・建具工事業

塗装工事業・・・防水工事業、とび・土工工事業

内装仕上工事業・・・建具工事業、建築工事業

機械器具設置工事業・・・管工事業、鋼構造物工事業

熱絶縁工事業・・・管工事業

電気通信工事業・・・鋼構造物工事業

造園工事業・・・土木工事業、とび・土工工事業、舗装工事業

さく井工事業・・・とび・土工工事業

水道施設工事業・・・管工事業、土木工事業

消防施設工事業・・・管工事業、電気工事業

清掃施設工事業・・・管工事業、水道施設工事業

解体工事業・・・建築工事業

入札に有利な業種

 一般的に、発注者の格付け評価の対象となる工事は、土木、建築、電気、管、舗装の5種類が多いようです。このほかに、分離派中にふさわしい工事とされる造園、鋼構造物、水道施設、しゅんせつ、清掃施設、機械器具設置、とび・土工、電気通信、消防施設の9種類の計14種類は工事の発注量が多く、許可を取得しておいた方が有利と言えます。

 建設工事は、各種の工事を有機的に結合させることで一個の構築物を作り上げるため、メイン工事の許可に付帯関連する工事についても、許可があると指名されやすい場合があります。たとえば、配水本管施設工事に対応する土木一式工事と水道施設工事、外壁改修工事に対応する建築一式工事、塗装工事と防水工事、電気工事と電気通信工事などです。